2013年1月11日 21:31
仕事始めから数日後,裁判から戻った私は,私の机の上に白い箱が置かれていることに気づきました。
その箱には,とある地方都市の名酒の銘柄が書かれていました。
以前は知りませんでしたが,今は見慣れた銘柄です。
「ああ・・・。Sさんからのお年賀だな。」
箱に貼られた伝票の送り主の名前を確認するまでもなく,懐かしい気持ちに浸りながら,私はSさんへの御礼状をしたためることにしました。
Sさんは,過去に私が護ることのできた依頼者の方です。
今はSさんは遠方にお住まいであるため,もうお会いする機会はないと思います。
ですが,私がSさんを忘れることはありません。
弁護士は人の不幸を扱う仕事ですので,事件が終わった際,依頼者の方に「またどうぞ。」とは言えません。
依頼者の方に再会する機会があるとしたら,それは依頼者の方が再びトラブルに巻き込まれてしまったときに他なりません。
そのため,事件終了の際に,
「無事に事件を解決できて良かった。もう弁護士の力が必要ない生活を送って欲しい。」
と喜ばしく思うと同時に,
「依頼者の方が幸せな生活を送れるということは,私に会う機会もないということだな・・・。」
と,寂しい気持ちにもなります。
弁護士とは人の不幸を生業にする因果な仕事だと,実感してしまうときです。
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お正月は,元依頼者の方々から年賀状を頂きます。
年賀状のおかげで,おそらく二度と会わないであろう元依頼者の方々が,幸せに暮らしていることを確認できます。
一年に一度,そしてほんのわずかではあるかもしれませんが,依頼者の方々との「つながり」を感じることのできる貴重な瞬間です。
普通の人が弁護士が必要になることは一生に一度あるかないかですので,依頼者の方にとって,
私は「人生において唯一依頼した弁護士」になるのかもしれません。
ときには,果たして自分が依頼者の方を護れているのだろうかと葛藤する日々もあります。
しかしながら,こうして依頼者の方々との「つながり」を実感できると,また一年戦えるエネルギーが湧いてきます。
私が元依頼者の方を覚えているように,元依頼者の方が私を覚えてくださっています。
これほど嬉しいことはありません。
ようやく2年目を迎えたばかりの弊所ではございますが,依頼者の方を護れるよう尽力致します。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
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埼玉県さいたま市南区の弁護士事務所
武蔵浦和法律事務所 峯岸孝浩